無手勝流「水冷式?」送信機
       


■ 変わりだね工作物語(3) ■
□プレートは赤く染まらなかった  □


これは現在、オーディオアンプに使っている6Y6Gだが、ほぼ同じ外観をしている6本足(UZ)のST管「42」は昭和40年ごろラジオ用にとても身近な真空管だった。プレート損失3〜4Wでアマチュア無線の小型送信機にも使われていた。
現物はもちろん残っていないが追憶の彼方の送信機の一つがこの「42」を4本並列にした水冷式送信機だった。例によって無手勝流の水冷式で、シャーシに「42」を4本並べ、シャーシ内部に回路を組み、そのシャーシをひっくり返して水を張った金魚鉢にかぶせたのだ。シャーシが上からみて長方形の金魚鉢より縦横ともわずか大きく、ちょこんと乗せることができたのだった。
807送信機のプレートを赤くする状態で使っていた電源をそのままつなぐ。ドライブを掛けてキャリアを最大に出す。逆さまになった42はガラス部分だけが水につかり、ベース部分は水の上。ダミー電球は輝くが、金魚ばちの水を通して見る42のプレートは全く変化ない。この水冷機は実際には交信に使うことはなかったが。500ボルトを掛けたが出力は数10ワット以上は出ていたのではないか。学生だった昭和39年ごろのことで交信時はハンダゴテに通電していて、毎日のように送信機の回路や終段増幅管が変わっていた。無線機を自作しその性能を交信によって確かめるということが私のアマチュア無線の目的だったような気がする。


工作室日誌に戻る