カツミ電機のメッセージ・キーヤーMK−1024はメモリ機能をもったエレクトロニック・キーで、発売開始は1976年頃と思います。それから43年以上過ぎた2019年の現在でも、インターネットで検索すると、国内だけでなく、海外ユーザー情報が出てきて、世界のアマチュア無線家に長く愛用されていることが分かります。 |
文字書き業務やハムフェアなどあり、8月末以来手を付けられなかったMK−1024のトラブル対策に着手することになりました(9/4) |
ケースの蓋を開ける。ソケットに2段重ねの基板。下がキーヤー、上がメッセージメモリー基板。2枚の基板をケース内の鉄板に固定しているスペーサとネジを外して、メモリー基板を取出します。 |
回路は、本体に添付されている取り扱い説明書中に印刷されている。ほかにインターネット上からも取り出すことができましたが、インターネットと取説の間にはコネクタや、ICのピン番号などに微妙な違いが。製品出荷時期により異なるのかも? これは、実際の基板との対比で確かめていくことにします。 |
本体添付の取り扱い説明書中の回路図があるのですが、眺めるだけでは、どうにも全体の動きが分かりません。 |
抵抗とともにバイパス用のコンデンサも付いているので、基板裏は山盛り状態。ジャンパ線も3本あります。インターネットで別の方が、プルアップ抵抗も無しで・・・・のコメントを書かれているのを後から見つけました。最初は何のために追加されたものか分かりませんでしたが、添付の回路図と比較してみると、回路図には無いChセレクト部のプルアップ抵抗であることが分かりました。 |
以前、ローカル同士のQSOの話題で、トランシーバの故障修理の話しが出た時、最近の機械は切替用にダイオードを多用しているけれど、そのダイオードの不良による故障が多い・・・、という話しを聞いたことがあります。この基板にも電源の整流用の4本以外にスイッチ用に14本が付いています。しかもChセレクト部のA、Bチャンネルが分離できず、しかもA=B=ALLになっているので、やはり疑わしい。 |
これも機器修理の時に良く聞くこととして、「まず、コンデンサを疑ってみる」があります。それに習いやってみました。基板表側に付いているChセレクト部の0.01μFのセラミックコンデンサ5個を取りかえました。 |
これまで、ハンダ盛り直しや基板掃除、推測による部品交換をしてきた結果、不完全ながらある程度の効果は見られましたが、全く安定していませんでした。有るとき調子が良く、有るときはSTOPボタンが全く効かなくなったり。 |
回路図から機能別のブロック化した構成図を作りオシロやアナログテスタで観測を始めました。
各Chのスタートボタンやストップボタン操作しながら、特定ポイントのレベル変化や、異なる2ポイントの信号(レベル)変化の相関を観測すると、予想したとおりの状態変化をする部分もあれば、自分の予測と異なる部分もあります。
|
オシロで各Ch選択ボタンの出力部を観ると、C、D、ALLのChは動作時にはHから、カクン!とLに移動するのに対し、AとBの二つのChではフラフラと揺らめくだけ。いままで、メモリ内容がA=B=ALLとなっているという不具合のもとは、該当するU15の「7400」以外には無いだろう。ということで、まずここから交換。 |
★基板上パターン導通なし=その1 |
取説の操作に近い、いいところまできたのだが、自動停止しないで次のチャンネルの再生に行ってしまうことがある。20回やっても大丈夫のこともあれば、5回毎にこの問題が生じてしまうことも。とにかく不安定。こうなったら、最後の切り札?? 各部への信号の動きをコントロールしていると思われるU14の「7473」を取り替えるしかない。 |
7473の交換は残念ながら意味がなかった。このICを交換したのは、手動で停止させるためには、CLKのピンをSTOPスイッチでGNDに落としているからです。自動的に停止させる場合も、書込/読出しともメモリフルになった時点で、このCLKのピンに何らかのショックが加わり停止させるようになっているのではないか・・・? |
最初にMK1024の基板を見た時、単なるバイパス用ではない意味のわからない0.04μFのコンデンサでしたが(NO.7=9/8)、本機の動作に大きな意味をもっているらしい事が分かってきました。手動でメモリ動作を停止するには、STOPボタンでCLKのピンを一瞬アースに落としています___ 。自動で同じことをやるためには、通常「H」(約5V)が掛かっているこのポイントを一瞬でも0かマイナス電位にすればよい? そう思って回路を見直し、さっきオシロの測定棒が付いていた部分を抵抗(R)に置きかえると、「微分回路?」のような感じになりました。そうすると入力側でLからHに上がってまた下がる時には、出力側(LCKピンの側)にマイナスパルスが加わるのかもしれない・・・。 |
該当部分の回路を抜き出して描きました。「※」がオシロの測定棒の代わりに付けた抵抗です。値9MΩは、3MΩを3本直列にしたものです。何通りか試行するつもりで最初にこの値にしたのですが、動作が正常になったので、そのままにしてあります。 |
不具合が完全解消したメッセージキーヤー「MK−1024」、さっそく依頼主に返送し、一件落着。 |
|
工作室に戻る | 工作コーナーメニューに戻る |