沼南(しょうなん)ラジオ工作室 工作日誌 2018年 ”8月20日”

=== 狭帯域用IFT「T−11」を入手! ====
真空管短波ラジオ=高1中2受信機を製作
           




□ 手許の受信機を作り替える □


 アマチュアの間で自作が主流だった頃、中間周波トランス「IFT」の最高峰はこのトリオ製T−11でした。今、真空管受信機を自作する時に部品入手のネックにIFTがあります。家庭用真空管ラジオの中古IFTであってもとても高価。ましてこのT−11となると幻の部品。話しよるとン万円の価格が付いているものもあるとのこと。
 このたび、なんとそのT−11を入手。JA1LNQ、我妻氏から各種部品と共にいただきました。さっそくこれを使った受信機を製作することにしました。

 



まずは完成後の姿__7MHzバンドのCW/SSB用です
       




□中央のダイヤル機構は同時入手のギアダイアルメカを使用 □


手許の別の受信機をバラし、アルミのシャーシとパネル状態に戻して作り替えました。


ダイヤルギアのメガも同時にいただく
       



□↑ クラニシのギヤダイヤル。エスカッションと文字盤は大きすぎたので自作 □


   T−11以外にも受信機用に各種部材をいただいた中にあったクラニシのギアダイヤル。添付の説明書に「バックラッシュ皆無」とある。これを使わない手はない。付属の扇型の文字盤、エスカッションは手許のパネルからはみ出してしまうので、そちらは自作することに。


既存の受信機をばらして剥き出しシャーシにする
       



□(03)↑ 電源とICの低周波部はそのまま再使用するつもりで残したままに □


   このシャーシは初め、平成23年(2011年)に短波ラジオを作って以来、何度も「解体しては作り直す」を繰り返しいろいろな受信機に変化させてきたので、シャーシ、パネル共にギザギザの変形の穴だらけ。今回、さらにこれにギヤダイヤル用の穴を開けて行くことになります。


ダイヤルギア用の穴を開ける
       



□(04)↑ 追加加工した手前の四角の穴にギアメカが入る □


   シャーシに一部の部品を取り付けたまま、ドリル、ハンドニブラ、鉄ヤスリで穴開け、研磨したところ。二つのトランス、電源回路、ICオーディオ基板部に振動やアルミ屑が悪影響を与えるのが心配でヤスリ掛けもそこそこに。


ギアメカ取付金具を作る
       



□(05)↑ このたび分解した受信機の追加パネルを加工して金具にした。 □


   シャーシに開けた穴にダイヤルメカの半分が潜り込む。そのための取付金具の形を工夫。さっきまでパネルのダイヤル窓を塞いでいたアルミ板片をそのまカットして取付金具に。


シャーシにギアを仮乗せ
       



□(06)↑ シャーシの穴にギヤを取り付けてみる


 ツマミ軸の位置が少し低いようだが、キャビネットに納め、脚を付けることで調整できそう。ここにはバンドスプレッドバリコンが付く。右側の軸はメインバリコン用の微動ダイヤル。


文字盤を付けてみる
       



□(07)↑ オリジナルの文字盤を縮小プリントした。 □


   クラニシオリジナルのダイヤルエスカッションは左右16センチ。この受信機のパネルスペースでは12センチがぎりぎりなので、オリジナル文字盤をスキャナで取り込み、縮小プリント。指針は卵ラグにエナメル線をハンダ付けして黒く塗る。次いで、エスカッション自体も作ることに。


ダイヤル軸の位置とスプレッドバリコンの位置確認
       



□(08)↑ ダイヤル軸とスプレッドバリコンの軸を一直線に。 □


   予め寸法を測って金具を作り、取付たのだが我が工作室の精度では必ず誤差が出てしまう。スプレッドバリコン取付金具の穴をヤスリでゴシゴシ修正して軸を一直線に、、、、。


ダイヤルエスカッションを作る
       



□(09)↑ しょうなん工作室定番のアルミ穴開け加工。 □


   ダイヤル文字盤に合わせて小型のエスカッションを作る。2ミリ厚のアルミ板にドリルで連続穴を開け、糸のこでつなぎ、ヤスリで削る、おなじみの作業で完成。


シャーシ上部品取付
       



□(10)↑ シャーシ上部品取付開け加工。 □


   ギヤダイヤルの取付けが終わり、IFT、バリコンなど部品を取付け。文字盤の照明ランプはこれから。


回路構成は標準的なもの
       



□↑ 2012年に製作記事用に作った高1中2がベース。その回路図を一部修正 □


   回路は2012年に私が「電子工作マガジン秋号(NO.16)」の116頁〜127頁に掲載する為に製作したものとほぼ同じ。その記事ではコイル、IFTともに自作で、BFOもトランジスタとセラミック発振子を使いましたが、今回、IFTに「T−11」を使うにあたって、コイルもトリオのモノバンドコイルを、BFOも古典的な真空管とBFOコイルを使用。ただし、低周波部とSメータ部分はオリジナル通りICやFET回路を使いました。受信周波数は7MHzを中心としてCW、SSB、AMに対応。
なお、回路図はこの受信機の概要説明のために手許の当時の回路図を修正しただけのものです。あくまでも回路構成図として見てください。


パネル面にダイヤルエスカッション仮取付
       



□(11)↑ ダイヤルエスカッション仮付け □


   ダイヤルエスカッションは取り敢えず両面テープで所定位置に貼りつけ。指針調整用のつもりだった丸い穴は役に立たなかったので全体をねじ止めしてはずせるようにすることに。今回の改造でパネル面つまみ用の穴を開け直した痕跡が見えるが、無視することにした。さらにあと一つ、Sメータ調整用VR用の穴を開ける必要がある。


配線終了
       



□(12)↑ 配線終了後のシャーシ。斜め後方から見る □


   配線終了のシャーシ斜め後方から見る。


配線終了
       



□(13)↑ 配線終了後のシャーシ。真上から見る □


   配線終了のシャーシ真上から見る。


シャーシ内部の配線
       



□(14)↑ 配線終了後のシャーシ内面配線。 □


   配線終了のシャーシ内部。


キャビネットに納める
       



□(15)↑ キャビネットに納める □


   これもしょうなんラジオ定番のキャビネット。厚さ9ミリのMDF板で製作。チョコレート色のカラースプレーで塗装。ダイヤルエスカッションもライトブルーのカラースプレーで塗装。電源トランス類がある左側底部と側部には風通しの為の穴を開けてあります。


AMからCWまで快適な短波受信が楽しめる
       



□(16)↑ パネル面の操作ツマミ類 □


   定番のキャビネットに納まったT−11使用高1中2短波受信機が完成。家庭用ラジオのIFTを使っていた今までの受信機と較べるとCW受信でも切れ味があきらかに違います。もっとも混信は避けられず、かつてこの手の受信機を実際に交信に使っていた頃の事を思い出します。


完成
       




□(17)↑完成 □


   完成した。


実際の交信に使ってみる
       




□(18)↑実戦交信で使ってみる □


   完成した「T−11受信機」。SWLだけでは物足りないので、JA1GMOのCW/AM無線機ラインに組み込んでみました。電信の場合、CQ呼び出しをしている相手局の周波数が正確に分からないので、キャリアのゼロビート点に自分のDDS−VFOの周波数をゼロインさせる手間がかかり、慣れるまでひと苦労でした。
 AMの場合の周波数は、ほぼスポットなので、問題なく、さらにAMならではのきれいな音で楽しめます。ついでに7メガ帯の放送バンドの海外放送も楽しめます。


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