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沼南ラジオ工作室2014 年7月7日
<1>:7メガAM/CWトランシーバ用=6BQ5リニアアンプ製作
       

 46年前、社会人になりたての 私が分割払いで手に入れたトリオの50メガAMトランシーバ、TR−1000。山に登ったり、仕事の東北地方への出張旅行の際にも肩にかけて歩き、多くの同好の士との交流を得るとこができた懐かしい無線機です。
物置の奥からほこりと錆だらけで出てきたときは、部品を外して捨てようと思ったものの、これに込められた数々の思い出も捨て去ってしまうような気持ちになり、7メガのAM/CW機に改造しました。
 その結果は出力0.5W程度。もう少しだけパワーが欲しい、ということでささやかなリニアアンプの研究を開始しました。



<2>木板上で回路を検証。
ブレッドボード型6BQ5リニアアンプ。
       

   

TR−1000の7メガ改造版の名称はTR−1040としました。0.5Wを最大で5Wぐらいまで拡大することを念頭に出力真空管6BQ5を使います。はじめは木の板に部品を木ねじ止めして、部品間を配線する「ブレッドボード」型で回路を検討します。板上でカット・アンド・トライの繰り返しです。 A級動作で直線アンプになるようにバイアスを調整し、入力部のコイル調整、さらにアッテネータを入れるなどをしながら、一応の動作するまで持ち込みました。



<3>6BQ5リニアアンプ用電源を製作。
 200V 200mAのトランスを倍電圧整流で使用
       

B電圧200V 200mAの電源トランスが手元にあったのでこれを使用。もう少し電圧が欲しいと感じたので倍電圧整流で400V強の電圧を取り出しています。しかし動作試験をしながら6BQ5の動作特性表を見るとプレート電圧は200Vから250VぐらいでG1バイアスは−10V位がよいようです。 はじめからブリッジ整流で200V強にすればよかったのですが。回路修正が面倒なので直列に抵抗を入れて電圧を少し落としています。  


<4>回路研究と動作検証の結果
 最終的に回路はこのように
       


試行錯誤の結果の回路です。ボード上のテストの時にはアンテナ切り替えのリレーなどは付けていませんでしたが、ケースを使った実機製作の時、それを一つのリレーでやったら、みごと入力と出力が結合して発振器になってしまいました。  そこでアンテナ入/出を二つのリレーに分けました。 TR-1000がプラス接地なので入力ケーブルは直流的に離してあります。 


<5>ケース内部に正式に製作。再度の調整で完成
       


テストした回路をもとにケース(シャーシ)内部に新たに製作するにあたり、プレートコイルは昔のエアーダックス、バリコンはミゼット型(150PF)にしましたが、他は同じ部品を使用。 アンテナ切り替えリレーの入力側は四角い黒い小さいやつ、出力側(アンテナ側)は少し大きめのにしました。 真空管の入力部(G1部)には真鍮のシールド板を立てて不要な発振を防止しています。  バイアス電圧はパネル面のVRで変化可能。通常はプレート電流40mA、出力3Wで使用。電信のときはA級動作の必要がないのでバイアス電圧を絞ってキャリアを入れると0.5Wが7Wぐらいになります。しかしプレート電流は80mAになり、球が心配なので電信でも、4W〜5Wがいいところです。



<6>仕上げの製作は天板と空冷ファンの取り付け          


6BQ5は真空管なので、相当熱くなります。小さいシャーシに横向きに付けてあるので、多少の放熱を考えて、天板をパンチングメタルにしましたが、まだ心配なので、昔、パソコンのハードディスクに張り付けて使った薄型の空冷ファンをねじ止めしてパンチングメタルの穴をとおして熱気を排出するようにしました。ファンには12VDCをそのままつないでいます。
  これで、思いでのトランシーバTR−1000が7メガのAM/CWの実用機として復活する可能性が見えてきました。